誰にでも分かるシリーズ《遺言4》

秘密証書遺言

 先の2つの方法に比べると、利用されることはそれほど多くありませんが、もう1つの方法として秘密証書遺言の方法があります。こちらの方法も公正証書遺言と同じく、公証役場を利用することになりますが、遺言書自体は自分で作成することになります。秘密証書遺言も全国約300か所にある、どこの公証役場を利用しても問題ありません。

 

 まず、遺言者が遺言書を作成します。この場合は、パソコンやワープロで作成することもできますし、第三者に書いてもらうことも可能です。但し、署名だけは遺言者自らがしなければならず、押印も必要です。そしてこの署名の横に押印した印鑑で封印をしなければなりません。

 

 封印とはこの遺言書を入れた封筒を閉じて、そのとじ目に印鑑を押すことです。この封印した封筒を持って公証役場に行き、公証人と証人2人以上の前で、遺言者はこれが自分の遺言書であることを話し、公証人、遺言者、証人が署名押印することになります。

 

 秘密証書遺言については、公証役場を利用しますが、公正証書遺言と異なり保管は遺言者自身がしなければなりませんので、紛失などしないように注意が必要です。

 

 この秘密証書遺言のメリットはまず遺言書を自分一人で作成できるため、遺言内容が外に漏れることがありません。また署名を除いては、パソコンなどで作成することができるのもメリットです。

 

 デメリットとしては、やはり自筆証書遺言同様、遺言書自体は自分一人で作成するので、形式に不備があり遺言自体が無効になる可能性があります。また、遺言者が死亡した後、相続人は秘密証書遺言を勝手に開けることができず、必ず家庭裁判所で開ける必要があります。(公正証書遺言は家庭裁判所で開ける必要はありません。)

 

 最近の法改正で、法務局が自筆証書遺言を預かってくれるようになったので、この秘密証書遺言の方法を取る人が少なくなっていくことが予想されます。個人的には字を書くのが苦手で、字も汚いので、自筆証書遺言もパソコンなどで作れる日が早くきてほしいと切に願っております。

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